役員退職金について(その2)
みなさんこんにちは、もうすっかり秋ですね。
秋といえばスポーツということで先月からジムで体を整えています。
その効果は・・・あれ逆に2キロ太ってる?・・・あー秋といえば食欲の秋でもありますね。
食事にも気を付けないと痩せないなとしみじみ思う長澤です。
それはさておき今回は、『役員退職金』の第2回目ということで、法人税の観点から取り上げていこうと思います。
1. 役員退職金の支払時期
役員退職金は役員が退職(取締役を退任)したときに支払うことが原則となりますが、例外として『分掌変更等』の場合でも退職金を払うことが出来ます。
原則:役員退任時(株主総会等の決議が必要)
例外:分掌変更時
分掌変更とは?
① 常勤役員が非常勤役員になったこと
② 取締役が監査役になったこと
③ 分掌変更等後の給与が激減(おおよそ50%以上の減少)したこと
などがあげられます。この3つのいずれかに該当した場合には、相当額を退職金として支払うことが出来ることとされています。
実務的には、事業承継で代表取締役から取締役になった時などが一番多いパターンかと思います。
「代表は子供に譲るけどまだまだ心配だから取締役としては残っておく」といった形です。
ここで気を付けなければならないのは、『実質的に経営に従事している』状態では役員退職金について否認される可能性があります。(平成19年3月13日付けの最高裁の決定)
やはり退職という位置づけなので、完全に取締役を抜けないまでも、経営の中核からは退く必要があるということです。
この方法で退職金を支給しようと考えている場合には税理士にご相談ください。
2.役員退職金の算定
役員退職金の適正金額算定方法は、ある程度決まっています。いろいろな方法がありますが、一般的な算定方法をご紹介します。
平均功績倍率法
最終報酬月額 × 勤続年数 × 平均功績倍率 = 適正金額 |
平均功績倍率 | |||
創業者社長 | 専務 | 常務 | その他役員 |
3 | 2 | 1.5 | 1.5 |
※ 勤続年数は法人を設立してからの数えますので、個人から法人成りした時には個人時代の勤続年数は数えません。
※2 平均功績倍率はあくまでも目安です。
仮に創業者が月給50万円で20年務めて退職したときは
50万円 × 20年 × 3 = 3000万円
が上限となります。
こんなに大きな金額が一括で損金となる機会はめったにありません。これは大きな節税として考えられるものとなります。
次回は、実際にこの役員退職金をどのように活用すれば節税効果が高まるかをお話ししていきたいと思います。ではまた。
役員退職金について(その1)
みなさんこんにちは、最近は寒暖差が激しくなってきて、なんだか鼻の調子が悪い長澤です。体調には気を付けていきたいものです。
それはさておき、今回は、最近お客様によくお話する『役員退職金』について取り上げていこうと思います。内容は、代表取締役(創業者)向けのお話しです。ちょっと長いので、いくつかの項目に分けてお話ししていきたいと思います。
- 所得税の観点から
役員退職金は、個人事業ではできない、法人とする最大のメリットです。なぜメリットなのかといえば、退職金は所得税の所得計算で、非常に優遇されているからです。
① 他の所得と別に税率を乗じる『分離課税』
給与所得や不動産所得などは所得金額を合算してから税率を乗じる『総合課税』となりますが、退職所得は単独で税率を乗じる『分離課税』のため、他の所得があっても税金の金額が変わることはありません。
② 所得金額計算には控除などの優遇措置がある
(算式)
退職所得の金額 = (収入金額 - 退職所得控除額)× 1/2
退職所得控除額
勤続年数(A) | 退職所得控除額 |
20年以下 | 40万円×A
(80万円に満たない場合は80万円) |
20年超 | 800万円+70万円×(A-20年) |
退職金は退職後の生活費として要素もあるため、税金を大きく課税させない考慮がされています。退職所得控除額も優遇措置として大きいですが、注目すべきは控除の金額から1/2とするところです。
1/2ということは、言い換えれば税率が半分となるということです。
所得税の最高税率は45%ですので、その半分22.5%が退職所得の最高税率となります。金額が大きい分税額も大きく違います。
役員退職金は、非常に節税効果が高い事項です。次回は法人税の観点からお話ししていきます。
皆様も体調にはお気を付けてください。それではまた。
追伸:作業机の隣に猫専用の椅子を設けてみました。癒されますなー。