信頼することの価値
みなさんこんにちは。先週の更新を休んでしまい申し訳ございませんでした
先週は、胃腸炎にかかっていたようで、外仕事はこなしたのですが、事務所内の仕事はなかなか取り組める状況ではありませんでした
久しぶりに胃腸炎になりましたが、なかなかしんどかったですね
みなさまもお気をつけていただければと思います(ちなみに、今は復活しています)
さて今回は、以前ご紹介した松下幸之助著『人を生かす経営』より、また抜粋して考え方についてご紹介していきたいと思います。
信頼することの価値
会社や商店などにおいて、人を本当に活かすというか、その人のよさを十分に発揮して働いてもらうために大切なことはいろいろあろうが、一つにはやはりその人を信頼することが非常に大切ではないかと思う。
人は信頼されているとなれば働きやすい。
疑いの目で、じっと監視されながら働くというのでは、これはだれしも十分に力を発揮できにくいであろう。
やはり、信頼され、まかされて仕事を進めていく、という姿においてこそ、伸び伸びと自分の力を発揮してよき成果をあげていくこともできるのである。
ところが、われわれ人間というものは、なかなか容易には他人を信じないという面がある。
そこに一つの問題があるのではないだろうか。
松下電器が最初に制作した品物に、アタッチメントプラグという電気器具がある。
この製品は非常に評判の良い、よく売れた物であった。
だから、この製品を作り始めてからは、仕事が非常に忙しく、初めて人を4,5人、雇い入れたのであった。
それまでは、私の身内3人だけでやっていたけれども、手が回らなくなったので、外の人を雇ったのである。
そこで一つの問題がおこった。
そこは何かというと、製品の原材料である煉物の製法の秘密をどうするか、ということである。
製法の秘密というと、いささかオーバーな感じもするが、今日の企業に技術上の秘密があるように、当時の煉物の製法は、各工場とも秘密にしていた。
いわば企業秘密ともいえる。
その煉物の製法は、各工場とも秘密にしていた。
~ 中略 ~
私はいろいろ考えた。
考えた結果、一つの結論を出した。
つまり、思い切って製法を身内だけの秘密にするのはやめる。
雇い入れた人たちにも適宜教えていく。
今日入った人でも教える。
そして、その人たちにも煉物の製造を担当してもらう。このようにした。
そういうようにした結果、なんとなく工場の雰囲気がより明るくなった。
また、製造を担当する人たちも今まで以上に生き生きと仕事を進めてくれるようになった。結果はよかったわけである。
ところが、世の中というものはわからない。
人の見方はさまざまである。
世間一般の常識的な考え方もまた根強いものがある。
この私のやり方について、ある同業者が忠告してくれた。
『松下さんのやり方はまことに危険だ。きょう入った人にまで製法を教えるということは、それはもう技術の秘密を公開するようなものだ。そうすると、同業者もふるえかねない。お互い同業者のマイナスにもなり、松下工場にもマイナスになるのではないか』と、こう言う。
~ 中略 ~
『ご忠告はありがたい。しかし、そういう心配はないと思う。というのはこの製法が秘密であることは従業員も知っている。他にもらせば工場のマイナスになることはわかっている。
だから、それを教えてもらっても、他に漏らすようなことはないと思う。
それよりも大切なことは、お互いの信頼である。
私は従業員を信頼して製法を教えている。
だから、従業員もその信頼にこたえて、秘密を守り、また大いに頑張ってくれていると思う。
実際、みんな本当に一生懸命に働いてくれているのだ』
この私の話を聞いて、その同業者が十分納得してくれたかどうか、それはわからない。半分は納得してくれても、あとの半分はなお納得できない、といった顔であったような気もする。
話はこれだけのことである。
しかし、問題は製法の秘密それ自体をどうするかということではない。
要は、従業員を信頼するということである。
つまり、例外はあろうが、たいていの人間は、信頼されれば裏切らない。
だから、信頼すること自体が、知らず知らず、従業員を従業員としての好ましい姿にするというか、あるべき姿勢をとらせていくのである。
そしてそれが、人間としての一つの尊い姿でもあるのではないだろうか。
このお話しは著書の一番最初の事項です。
つまり、『人を活かす経営』の根幹の部分であると思います。
『人を信頼する』言葉で言えば単純なものですが、実際には難しい問題でもあります。
自分も信頼していた人に裏切られたことはあります。
だけど、裏切られたから人を信じないではなく、基本は信頼するようにしなければならないと思います。
相手から信頼されるには、まずは自分自身が信頼に値する行動や考え方をもたなければなりません。
それには、相手を思いやることが一番重要と考えます。
自分本位では間違いなく、相手からは信頼されません。
相手を思いやることにより、相手も自分に対して思いやりを持っていただける→信頼関係ができる。という流れが理想です。
松下幸之助氏も、社員に「自分を信頼しなさい」ではなく、「私は社員を信頼しています」という思いで行動し、それが社員へ伝わり「私たちも社長を信頼する」という流れになってうまく行ったのではないでしょうか。
信頼関係を築くには、まずは自分から相手を信頼し、思いやる。ここがスタートラインではないでしょうか。
それではまた!